(122) 「なでしこジャパン」との不思議な縁 京都・白峯神宮の撫子桜 京都の白峯神宮は蹴鞠の宗家の邸宅跡に建立された縁から、蹴鞠やサッカーなどの球技の守り神としても崇敬されてきました。この神宮には左近の桜と右近の橘が植栽されており格式高い彩を添えているのですが、桜の名前(品種名)が広く知られることはありませんでした。 時は移り世は変わって年々サッカーが盛んになり、女子サッカーチームも結成されるようになりました。平成16年(2004年)、アテネオリンピック出場に先立って、サッカー日本女子代表チームの愛称が公募され、多数の応募の中から「なでしこジャパン」に決まりました。 これだけの話であれば何も特筆することはないのですが、なんと、サッカーの守り神:白峯神宮の左近の桜が「撫子桜(なでしこざくら)」だったのです。 |
(122-1) 白峯神宮 |
(122-2) オガタマノキ大木 白峯神宮で第一に目につく樹木はオガタマノキ(招霊木)の大木です。その木は御手洗所の背後にあり、根元から二幹にわかれていますが、幹周り2.4m、樹高15.7m、推定樹齢300年以上と、オガタマノキとしては驚くほどの大木です。京都市の中では最大のものであり、市の天然記念物に指定されています。 |
オガタマは神道思想の招霊(おぎたま。神霊を招く意)から転化したものと言われ、芳香のある優美な花を咲かせ、モクレン科の樹木のなかでは唯一常緑であることから、神前に供える玉串としても使われます。その大きさからみて白峯神宮が建立される以前からこの場所に有ったと思われますが、神宮建立の目的に沿う素晴らしい樹木です。 |
(122-3) 蹴鞠の碑と撫で毬 境内には蹴鞠の守り神「精大明神」を祀る社があり、さらに左写真の様な蹴鞠の碑があり、碑には撫でると球技上達の御利益が得られる「撫で毬」も設置されています。 |
(122-4) 左近の桜、右近の橘 白峯神宮は「神宮」の名に表れているように社格の高い神社であり、御所の紫宸殿に倣って本殿前には下写真のような「左近の桜・右近の橘」が植栽されています。なお下写真は入り口側から見た写真のため左・右が逆になっています。 |
白峯神宮の左近の桜は昭和9年(1934年)に平野神社から奉納されたものだそうですが、「左近の桜」とのみ書かれた木札が建てられ、その品種を説明するような掲示はありませんでしたから、桜の品種名が広く知れ渡ることはなかったようです。 しかし、この左近の桜は知る人ぞ知る「撫子桜(なでしこざくら)」でした。この品種は花びらの先端が細裂していて、ナデシコ(撫子)の花を思わせることからその名が付けられています。 |
(122-5) 「撫子桜」と「なでしこジャパン」 左写真は左近の桜が「撫子桜」であることを説明する掲示板ですが、これは「なでしこジャパン」愛称が決まった後に設置されたものです。 |
樹木写真の属性 | |
樹 種 | オガタマノキ(招霊木)[モクレン科オガタマノキ属] ナデシコザクラ(撫子桜)[バラ科サクラ属・園芸品種] (「樹木の見所」のページにリンクしています) |
樹木の所在地 | 京都市上京区今出川通堀川東入飛鳥井町261 白峯神宮 |
撮影年月 | 2016年11月 |
投稿者 | 中村 靖 |
投稿者住所 | 神奈川県横浜市都筑区中川中央 |
その他 |