(124) 日本一のスダジイ巨樹
鳥取県・琴浦町の「伯耆の大シイ」

鳥取県の大山東山麓に広がる琴浦町の古布庄(こうのしょう)地区には多くの巨木があり、「巨木の郷」と呼ばれています。そのような中で最も注目されるのは「伯耆の大シイ」と呼ばれる日本一のスダジイ巨樹です。

    

 (124-1) 参道わきに立つ巨樹

 春日神社に通じる参道の階段わきの丘の上にスダジイノ大木が立っていました。
 このスダジイは春日神社の御神木として古くから地域の人々に崇敬されてきた銘木ですが、昭和12年(1937年)に国の天然記念物に指定されたときに「伯耆の大シイ」と名付けられ、以来広くその存在が知られる巨樹になりました。
 一本の木でありながら森のように生い茂り、参道の階段に覆いかぶさるように立つ姿は、この木が唯ものでないことを伺わせていました。

  

  (124-2) 圧倒される巨樹

まるでその存在を隠すかのように地面まで垂れ下がった枝葉をくぐり、木の下に入ってみると眼前に巨大な木の幹が表れました。
幹周り11.4m、樹高15m、枝張りは東西30m・南北22m、推定樹齢1000年以上
幹の太さは類を見ない巨大さで、頭上にせまる大きな枝は巨大な龍が襲い掛かるかのようでした。ゴツゴツとして岩の様な太い幹からは、千年余の歳月を乗り越えてきた凄みがにじみ出ていました。
 
平成元年(1988年)に行われた環境庁の全国巨樹巨木林調査で、この伯耆の大シイはシイノキとしては全国一であることが分かりました。また平成2年に行われた「国際花と緑の博覧会」を記念して選定された「新日本名木百選」にも選ばれるなど、日本を代表する巨樹です。

     

 (124-3) 生い茂る枝葉

 少し離れた所から見ると、スダジイの枝葉がブロッコリーのようにムクムクと生い茂り、樹齢1000年の古木とは思えない若々しさと勢いの良さが感じられました。樹の下には無数のシイの実が落ちており、初夏にはスダジイ特有の黄色い穂状の花が木を覆い、毎年々々無数の椎の実を育んでいるのでしょう。
 スダジイは1億年前ころ地球上に出現し、今日に至り日本の山野で最も繁栄している樹木の一つです。 「伯耆の大シイ」を見ると、その樹の巨大さもさることながら、樹齢1000年を越えてなお尽きることのない生命力に感動させられます。

  

  (124-4) 後継スダジイ
伯耆の大シイから5,6m離れた所に樹齢数百年は越えていると思われるスダジイ大木が立っていました。おそらく伯耆の大シイの実から育った実生のスダジイでしょう。伯耆の大シイの後継樹として着々と育っている感じでした。
 
これから1000年後、伯耆のシイに万一のことがあれば、傍にひかえるこのスダジイ大木が跡を継ぎ、新伯耆の大シイとして立ち、この先いつまでも訪れる人を感動させてくれることでしょう。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 スダジイ(すだ椎)[ブナ科シイ属]

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 樹木の所在地  鳥取県琴浦町宮場  
 撮影年月   2018年11月
 投稿者   木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他