(80) 楠の国を象徴する
佐賀県・武雄市の3本の大楠

佐賀県の武雄温泉に3本の大楠がある。いずれも樹齢3000年という。しかるに弥生時代はBC8世紀〜AD3世紀である。したがって樹齢3000年前とはこれより前、すなわち縄文時代であることに気づいた。

 ちなみに縄文時代はBC100世紀〜BC4世紀である。とすると、これら3本の大楠の樹齢は屋久島の縄文杉に並ぶのではないか。その縄文杉の樹齢は一説に7000年以上とされたが、その後カーボン14による測定では2700年という。しかし今では3000年以上4000年以下ということで落ち着いているようであり、武雄の3本の大楠はこれに匹敵する。

今回訪ねた武雄の3本の巨木はいずれもクスノキであり、この木は樟脳油という殺虫剤に用いられる油を含むので腐食しにくい、ということでその長寿命を納得した。

   

 (80-1) 川古のクス

樹木の所在地:佐賀県武雄市若木町川古7843
指定:国指定の天然記念物

 佐賀県内に数ある楠巨木の中で、「川古のクス」は県下最大、全国でも第5位に入る楠巨木である。

 周囲は良く整備され小公園となっており、実に立派な巨木が屹立している。

 行ったときはあいにくと雨であったが、すぐ近くの小川には水車が回っており、茶屋もあって行楽には良い所である。
  

  

  (80-2) 伝承樹齢3000年の川古のクス
 幹周 21m、樹高 25m、伝承樹齢 3000年、堂々とした楠の巨樹である。
 幹周 21mと言うことは、地面から高さ1.3mの所で幹の直径が約6.7mであり、これは人の身長の約4倍の大きさである。
 近付いて見るとその巨大さに圧倒され、伝承とは言え樹齢3000年と言うのも納得させられる迫力がある。
 
ロールオーバー画像(マウスポインタを画像に合わせると、画像が変わります):
 奈良時代の初期(約1280年前)に編纂された肥前国風土記に、現佐賀県の地に楠が豊かに繁っていた記述されている。当時すでに堂々たる大木に育っていたこの楠を、風土記編纂の人も見たのであろうか。
この楠は大正13年という非常に早い時期に、国の天然記念物に指定されており、この楠が全国的に第一級の巨樹・巨木であることを裏付けている。

    

(80-3) 塚崎の大楠

所在地:佐賀県武雄市武雄町武雄5563-2
指定:武雄市指定の天然記念物

幹周13.6m、樹高18m、推定樹齢3000年の楠巨木である。

 駅(武雄駅)に近い割に、3本の楠のなかでは手入れがなされていないようであった。落雷により最もひどく傷つけられているせいもあるが、下部の根の様子はたくましい。
  


  

  (80-4) 武雄の大楠
所在地:佐賀県武雄市武雄町武雄5330、    指定:武雄市指定の天然記念物
 
幹周20m、樹高30m、推定樹齢3000年の県下第2位、全国第6位の楠巨木である。
これも落雷の被害を受けているが、塚崎の大楠より大きく荘厳に見える。場所は武雄神社の裏手であるが、この巨木の周囲には木々が無くやや離れて竹林があり、冷気がたちこめ、ひんやりした環境にあった。見ていて癒やされる巨木である。

 

佐賀県の県旗(中央に楠の花)

 
楠の花

(80-5) 佐賀県の県旗に楠の花

 佐賀県の県木は楠、県花は楠の花である。それだけではなく佐賀県の県旗には左画像に示すように楠の花が織り込まれている。
 楠の花は非常に小さく色も淡い黄白色で目立たない花であるが、そのような花を県旗に採用するところは、佐賀県の人々の楠に対する思いが非常に強いことの現れであろう。
 古く肥前の国風土記の時代から現在に至るまで、佐賀県は正に楠の国であると、今回の武雄市楠探訪を通じて改めて実感した。

  

   樹木写真の属性
 樹  種  クスノキ(楠) [クスノキ科ニッケイ属]

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 樹木の所在地  佐賀県武雄市   
 撮影年月   2015年11月
 投稿者   殿塚 勳   
 投稿者住所  広島市佐伯区楽々園
 その他