(82) 1本の樹木が生み出す一大観光地
福島県・三春の滝桜

日本三大桜と言われるのは(1)福島県三春町の滝桜、(2)岐阜県本巣市の淡墨桜、(3)山梨県北杜市の神代桜ですが、このうち三春の滝桜を訪ねるチャンスがありました。三春の滝桜は花の華麗さもさることながら、一本の樹木が生み出す一大観光地を目の当たりにして、樹木が持つ大きな力に感動させられました。

        

(82-1) 滝桜の独演場

 滝桜は緩やかな南斜面に立っています。周辺の広い範囲の他の木はすべて切り払われ、周辺グルリどの方角からも滝桜を観ることができます。まさに滝桜のための独演場となっています。

  

  (82-2) 3大桜の貫禄
 
  滝桜:幹周9.5m、樹高12m、推定樹齢1000年、ベニシダレザクラの巨樹です。私が見に行った時(2015年4月8日)にはまだ3分咲き位でしたが、それでも日本三大桜の名を彷彿とさせる華麗さとスケールの大きさが感じられました。満開の時はさぞ素晴らしく訪れる人々を感動させることでしょう。
滝桜と呼ばれる名の由来については、流れ落ちる滝の様に見事な花が咲くから、との説もありますが、この桜が立っている場所が三春町大字滝であることから、と言うのが正解でしょう。

  

(82-3) 千年の風雪に耐えた幹

 直径3m余にもなる太い幹はゴツゴツとした大きなこぶに覆われ、一部は空洞化し、千年余も東北の厳しい風雪に耐えてきたすごみが感じられます。
 根元には小さい祠が置かれていましたが、千年余にわたって華麗な花を咲かせてきたこの樹木に対する畏敬の念の表れでしょう。
 エドヒガン系の桜は寿命が長く、各地に桜の巨木が見られますが、滝桜は全国の桜巨樹・巨木の中では第5位にランクされ、巨樹・巨木としても十分鑑賞に堪える存在です。

    

  (82-4) 上空では飛行機が旋回
 
   ときおり上空にはヘリコプターや小型飛行機が飛来し、滝桜の上を旋回していました。おそらく桜見物の遊覧飛行でしょう。
花の時期には滝桜の感動を求めて30万人余の観光客が訪れるそうですが、満開の時のにぎやかさはさぞかし大変なものでしょう。

  

(82-5) 滝桜記念碑

 近くの小高い丘の上に小公園があり、そこに滝桜記念碑がありました。ツルツルに磨かれた記念碑の上には桜や桜を愛でる人の姿が映り込み、幻想的な雰囲気を醸し出していました。
 石碑には漢詩が刻まれ
   「耐雪堪風幾百年
   千枝万葉盛依然
   滝桜花麗人歎賞
   老樹之名永劫伝」
と書かれていました。

  

   樹木写真の属性
 樹  種  エドヒガン(江戸彼岸) [バラ科サクラ属]

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 樹木の所在地 福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296番地 
 撮影年月  2015年4月8日
 投稿者 中村 靖
 投稿者住所 横浜市都筑区中川中央
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