(93) 万葉集など古典の樹木を植栽 八幡人丸神社の古典樹苑 山口県長門市の八幡人丸神社には、万葉集をはじめとする古歌・古文を出典とする樹木を植栽展示した古典樹苑があります。樹木を通じて古典に親しみ、古典を通じて樹木の理解を深めることができる貴重な施設です。 |
![]() |
(93-1) 八幡人丸神社と古典樹園 |
(93-2) むろのき(室の木) |
![]() |
・吾妹子が見し鞆の浦の室の木は 常世にあれど見し人ぞ亡き ネズミサシは一般に樹高10mに満たない常緑針葉樹の小高木で、大木でもなく綺麗な花を咲かせるのでもない目立たない樹種ですが、そのような地味な樹木に目を止め、歌を残している万葉人の樹木に対する感覚は、今日の私たちのものよりかなり地味で繊細だったように思えます。 |
![]() |
(93-3) ふじ(藤) 淡紫色の豪華な花を咲かせる藤は、古の人々が非常に好む樹木だったようで、多くの古歌・古文が残されています。 |
(93-4) まき(槙) |
![]() |
日本書記の中に「素戔嗚尊(すさのおのみこと)は・・・・スギとクスノキは浮宝(船)とし、ヒノキは宮殿に、マキは棺にせよと教えた」とあるそうですが、古の人々はマキを神聖視していたのでしょう。 万葉集の時代、マキ(槙)、ヒノキ(檜)、スギ(杉)が明確に区別されていたかあいまいなようですが、新古今集に詠われている下記の詠の槙は、マキ(槙)に違いないであろうと掲示板に記されていました。 ・淋しさはその色としも無かりけり槙立つ山の秋の夕暮 |
![]() |
(93-5) 女芭蕉の句碑 この近在に出家して菊舎尼と名乗った女性(宝暦3年(1753年)生まれ)がおり、彼女は24歳で夫に死別し、28歳で出家し全国行脚に旅立ちました。 |
樹木写真の属性 | |
樹 種 | ネズミサシ(鼠刺)[ヒノキ科ビャクシン属] ヤマフジ(山藤)[マメ科フジ属] マキ(槙)[マキ科マキ属] |
樹木の所在地 | 山口県長門市油谷町大字新別名35番地 |
撮影年月 | 2016年8月 |
投稿者 | 木村 樹太郎 |
投稿者住所 | 島根県邑智郡川本町 |
その他 |