(94)高山の樹木限界に生きる
カナディアンロッキー山脈の樹木たち

平均標高2000メートルを超えるカナディアンロッキー山脈。標高も高く乾燥していて冬には−25度くらいまで下がります。植物には大変過酷な環境で、木々は一年で1センチ伸びるのがやっとだと聞きました。

  

  (94-1) ロッキー山脈遠望
 
016年の夏、カナディアンロッキーはいつになく雨が多く、緑がとても濃いみずみずしい印象でした。朝、ピンと張り詰めた空気と抜けるような青空。そびえ立つロッキー山脈の麓はマツ科の針葉樹(樹種が良くわからないので以下「カナダ松」と呼びます)で覆われています。

   

  (94-2) トレッキングコース
 
せっかくロッキーに来たので、トレッキングをすることにした我々。目指すはロッキー山脈では人気のヤムナスカ山。2000メートル級です。コース両側にはカナダ松が林立し、森林浴にも良いコースです。おいしい空気を吸いながらゆっくり上って行きました。

 

(94-3) 眼下に広がるカナダ松の森 

一時間ほどのけっこうきつい上り。気が付くと眼下には空に突き刺すように生えているカナダ松の木々。ここまで成長するのに何年かかっているのでしょう。

 同じ種類の木がビッシリと生えている風景は、日本の山では杉植林の山しか見たことがなかったのですが、その雰囲気によく似ています。


 

  

  (94-4) 岩の上に立つカナダ松
 
んとか一時間半、松の森の中を登り続けると、急に目の前にはそびえ立つ岩肌が!
今回の感動樹木は、これより先は生息することが難しいという環境のぎりぎりの所に立つカナダ松の木です。根元を見ても、土といわれるようなものは見当たらず、岩の中に根をはりめぐらせて生きているようです。

  

(94-5) 絶壁の前に立つコース最後の松

そして今回の最高の感動樹木は切り立つ岩場をバックに立つ1本のカナダ松。

この辺りは風も強いのでしょう。枝の付き方が偏っています。背は高くありませんが、古い木のようです。枝は偏っていますが幹は真っ直ぐしっかりとしており、非常に力強さを感じます。背後に切り立った岩場は、これ以上樹木は立ち入らせない自然の厳しさを表しているようです。

同行の12歳、10歳の子供たちは山頂まで挑戦したいとのこと。生き物を拒むこの岩だらけの先を見てみたくなるのは人間の性でしょうか。

この松にまた戻ってくるからと挨拶し、意を決して出発するものの、10分で激しく後悔する自分を、この写真を撮った時点の私はまだ知らない。。。

  

   樹木写真の属性
 樹  種  不明  [マツ科]
 樹木の所在地  カナダ・アルバータ州 
 撮影年月   2016年8月
 投稿者  金田 美樹 
 投稿者住所  カナダ・トロント市在住
 その他