感動樹木HP__樹木の見所 (15C20)

名称 エノキ(榎)、 別名:ヨノキ
名前の由来:この木は枝が良く伸びることから「枝の木」→エノキとなったとの説がある。また、かって鍬などの農機具の柄(エ)にこの木が使われたことから「柄の木」→エノキとなったとの説も有る。
分類  ニレ科エノキ属、  落葉広葉高木  
見所 *北海道以外の日本の山野に自生し、人里近くにも比較的良く見かける。枝はよく分枝して四方に枝が広がり、丸い大きな樹冠を形成し、貫禄のある大木となる。地名や苗字になっている例も見られる。
*榎は日当たりの良い場所に育ち、良く枝葉を茂らせて大木になると1本でも林のような梢を作る。程よい日陰を作り、夏にその存在が感じられるところから、「榎」の字ができたと言われている。
榎自身は落葉樹であるが、大木でしかも常緑のヤドリギを良く付けるので人目をひく。国蝶のオオムラサキの幼虫が榎の葉を食べることでも知られている。
*榎を神ノ木としてさまざまな境界に祀るようになったため、古く榎は一里塚に植えられ道標とされたり、橋の袂や村境に目印として植えられた。現代では公園樹、庭木として見かけることも多い。
*江戸時代の主要街道に作られた一里塚の多くに榎が植えられ、現在も残っているものが有る。一里塚に榎が植えられた理由として、一里塚の創始者である織田信長が「松や杉はどこにでもある。塚には余の木(ヨノキ)を植えよ」と言ったのを、家来がエノキと勘違いしたとか、東海道建設を命じた徳川家康が「一里塚にはエエキ(良い木)を植えよ」と言ったのを、家来がエノキと聞き間違えたなどの説が有るが、エノキは適度な大木になり良く枝葉が茂るので、遠くからも良く見え、夏に良い日陰を作るなど、実利的な面が真の理由であろう。
*木偏に春・夏・秋・冬と書く樹木が有る。
 椿(ツバキ): 冬から春の初めに赤い目立つ花を咲かせ、他の樹に先駆けて春を感じさせる樹木。
 榎(エノキ): ご存じエノキ。枝葉が良く茂り、夏に存在感が強い樹木。
 楸(ヒサギ): キササゲの古名。秋にササゲに似た細長い果実が熟すなど、秋の印象が強い樹木。
 柊(ヒイラギ): 葉に鋭い棘が有る常緑小高木。葉の棘で邪気を追い払う節分の風習に使われるなど、常緑で冬に存在感が有る樹木。
代表的姿形 樹形:
 高さは20m位、幹の直径は1m位になる落葉高木。幹は直立するが枝を大きく広げて円蓋形の樹形になる。

 横浜外人墓地脇、榎木亭前の榎


 落葉した榎群



樹皮:
 樹皮は灰黒褐色で割れ目は無く、小さな皮目が多く、ざらざらした感じの樹皮となる。本年枝は黄褐色の軟毛が密生し、2年枝は無毛で濃紅紫褐色、円形で灰白色の皮目が密生する。
葉:
 葉は単葉で互生し、葉身は広い楕円形で長さ4〜9cm、幅2.5〜6cm。葉質は厚く触ると両面がざらつく。葉の先の方に小さく波状の鋸歯がある。  葉の基部から出る3本の葉脈(3行脈)が目立つ。



黄葉:
 10〜11月、気温が下がると黄褐色から黄色に黄葉する。

花:
 雄雌同株で花期は4〜5月、葉が展開するのと同時に、淡黄褐色の小さい花を咲かせる。雄花は集散花序となって新枝の下部に付く。両性花が新枝の上部の葉腋に付く。



実:
 果実は核果で直径6mm位の球形。当初緑色で9月に黒紫色に熟す。
 下写真:黒紫色の実は熟したもの、黄色は熟す途中、緑色は未熟の実。
分布 *本州、四国、九州、沖縄に分布する。
*丘陵や山地のやや湿り気のある日当たりの良い場所に自生し、人里近くの雑木林などにも多い。
利用 *庭木や公園樹として植栽される。
*材は建築材や器具材に使われるが、腐りやすいなど質は低い。
その他 *長野県坂城町、栃木県壬生町、東京都武蔵村山市、愛知県設楽町などはエノキを市町村の木に指定している。
*エノキに近縁のニレ科の樹木として、ケヤキ(ケヤキ属)、ハルニレ、アキニレ(ニレ属)、ムクノキ(ムクノキ属)などがある。
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