感動樹木HP__樹木の見所 (15B20)
名称 | イヌシデ(犬四手)、 別名:シロシデ(白四手)、ソネ、ソロ 変種:テングシデ(天狗四手) | ||
総称:イヌシデ、クマシデ、アカシデなどカバノキ科クマシデ属の樹木の総称として「シデ」と呼ぶ。 名前の由来: *この樹木の果穂が、しめ縄などに付ける紙の四手に似ているところから「シデ」と呼ばれた。「イヌ」は材の特性などが他の種と比較して劣ることを表す場合が多い。 したがって「イヌシデ」は材質が劣った「シデ」の意味をもつ。 *シロシデ:近縁種のアカシデと比較して、花の色が白っぽい(赤味を帯びない)ことからきている。 *テングシデ:イヌシデの突然変異種であるが、幹や枝が大きく屈曲する姿から、天狗の止まり木を連想し、その名が生まれたとの説が有る。 |
|||
分類 | カバノキ科クマシデ属、 落葉広葉高木 | ||
見所 | *イヌシデは山野で普通に自生し、人里近くでも比較的多く生育している樹木であるが、成長しても樹高15〜20m、幹の直径20〜30cmと大木にはならず、花も黄褐色で目立たない。材も優れた特性に欠けるため、これまで主に薪や木炭の材料として使用されてきた様に、目立たない存在である。 *イヌシデの実は長さ2〜3cmの葉の様な果苞を持ち、多数の果苞が集まって果穂を形成するが、この果穂が枝からぶら下がった様子が、しめ縄などに下げる「四手」に似ている。多数の果穂が枝からぶら下がっている様は印象的であり、最近では公園などにイヌシデが植栽されることもある。 *イヌシデの近縁種として良く見かける種としてクマシデ、アカシデがある。特徴は良く似ているが、おもな相違点は ・クマシデ(熊四手):樹皮が黒褐色で、シデ類の中では最も材が堅いため、家具材や器具材としても活用される。 ・アカシデ(赤四手):花が赤味を帯び観賞用としての価値もあるので、庭木とした植栽され、盆栽にも利用される。 *イヌシデの突然変異種でテングシデと呼ばれる変種が、広島県北広島町大朝の山中に自生している。一般に突然変異種は一代限りで終わることが多いが、このテングシデは幹や枝が大きく屈曲する特徴を持っており、代々その特徴が受け継がれ、100本近い群落を形成している。この変種は地球上ではこの地でしか見られない貴重な存在である。 | ||
代表的姿形 | 樹形: 高さ10〜15mになる落葉高木。幹は直径30cmほどになる。幹は直立するが枝別れは旺盛で、全体の樹形は卵形になる。 変種:テングシデ(天狗四手)では幹や枝が複雑に屈曲する。 |
葉: 葉は単葉で互生、葉身は卵形あるいは卵状長楕円形で、長さ4〜8cm、幅2〜4cm。葉脈が突出し、平行な側脈がくっきりと見える。葉の縁には鋭く尖った細かい重鋸歯がある。 紅葉: 10〜11月、気温が下がると黄褐色から鮮やかなオレンジ色に紅葉(こうよう)する。 樹皮: 樹皮は灰褐色でなめらかだが、縦に細長い白黒の縞模様ができるので、他の樹木と区別しやすい。 |
花: 雌雄同株で花期は4〜5月、葉が展開する時期に開花する。雄花序は長さ5〜8cmの穂状で黄褐色、前年枝から下垂する。 雌花序は本年枝の先端に斜めに下垂する。 実: 果実は堅果で長さ1.5〜3cmの果苞の基部に付く。果苞は先端が鋭く尖る葉のように見え、始め緑色であるが熟すと褐色となる。果苞はまばらに集まって長さ4〜12cmの果穂となり下垂する。垂れ下がる果穂の形が「四手」に似ている。 |
分布 | *本州の岩手県、新潟県以南、四国、九州に分布する。 *山地に多く見られ、人里近くにも自生する。 | ||
利用 | *材は建築材や、かっては薪や木炭の材料に使用された。 | ||
その他 | *シデコブシ(四手辛夷、あるいは幣辛夷)と呼ばれる樹があり、これは白く長い花弁が垂れ下がる様を、「四手」に見立ててその名が付けられたと言われている。こちらはカバノキ科クマシデ属とは関係なく、モクレン科モクレン属の樹木である。 | ||
注 | この説明文の一部にフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 などWeb情報を転載。 |