感動樹木HP__樹木の見所 (15K20)

名称 カキノキ(柿木)、 別名:カキ(柿)
総称:カキと言うとき、柿木と柿の実の両方を表す。柿木には多くの栽培品種があるがカキはその総称である。
名前の由来:
 実の赤い色から「アカキ」の上略とする説、実が堅いので「カタキ(堅)」からとする説、実がつやつやとして輝いていので「カカヤキ(輝き)」からとする説などがある。
分類  カキノキ科カキノキ属、  落葉広葉高木  
見所 *柿は中国の長江流域の原産で、日本には古く奈良時代に渡来した。果実や柿渋として利用価値が高いので日本各地に栽培が広がった。特に西日本地域では秋の代表的な果実となり、農家の庭先や畑などに多数植えられ、秋に橙色に熟した柿の実が農山村の風景に彩を添えている。

*柿木は非常に有用な樹木であるため、各地で積極的に品種改良がおこなわれ、多くの栽培品種、地域品種が生まれている。柿木の品種は1000種を超えるとも言われるが、大きく渋柿と甘柿に別れる。甘柿は渋柿の突然変異であり、約800年前の室町時代に現在の川崎市にある王禅寺で最初に発見され、以降、甘柿が全国に普及し日本の特産となっている。王禅寺には現在も甘柿発見の原木(ヒコバエ)が存在する。(感動樹木HPの「(14)甘柿の元祖・禅寺丸柿」参照)
  代表的な甘柿:富有、次郎、貴秋、花御所など
  代表的な渋柿:西条柿、甲州百目、利根柿、市田柿など
渋柿は干し柿にしたり、さわし柿にすることで渋を抜き、甘くして食用になる。渋柿の渋は塗料や防腐剤などとして活用されていた。

*「桃栗3年、柿8年」の言い伝えがあるように、柿は播種から結実までに年数を要する。一方、柿木は寿命が長く、樹齢300〜400年のものも多数存在すると言われている。環境庁の2000年の巨樹・巨木林調査によると、幹周3m以上の柿の巨木が15件存在する。

*「柿が赤くなると医者が青くなる」とのことわざがあるように、柿はビタミンやミネラルの豊富な食べ物であり、これをたくさん食べることで人々の健康増進にも貢献している。他に柿の葉を乾燥して作る「柿の葉茶」、鯖寿司などを柿の葉に包んで作る「柿の葉寿司」など、柿木は日本の食文化の中でも大きな存在である。

*「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺(正岡子規)」に代表されるように、柿は多くの俳句、詩歌、絵画で取り上げられ、日本人の心を捉えてきた。また柿木は多くの民話にもしばしば登場し、日本人の生活に深く根をおろした樹木となっている。

*柿は枝が折れやすい木であり、多数の実がなりすぎると自重で折れることもある。柿をとるために木に登り、枝が折れて死傷する事故もあり、注意を要する。枝が折れやすいことは逆に、長い竹竿の先を二股に割り、これに挟んで高いところの柿を取ることができるというメリットを生じさせる。
代表的姿形 樹形:
 幹は直立して上部で枝分かれする。高さ5〜12m、幹の直径15〜30cmになる。
 下写真:畑に立つ紅葉の柿独立木。(幹周101cm、推定樹齢95年)



樹皮:
 樹皮は若木では灰褐色、古くなると灰黒色となり、縦に走る割れ目が多数生じる。

葉:
 葉は単葉で互生し、長さ1〜1.5cmの葉柄がある。葉身は長さ7〜17cm、幅4〜10cmで広楕円形〜卵状長楕円形。葉縁は全縁でまれに上部に細かい鋸歯がある。



紅葉:
 10〜11月、気温が下がると赤褐色に紅葉(こうよう)する。紅葉もなかなかきれいである。
花:
 花期は5〜6月で雌雄異花同株。その年伸びた枝の葉腋に淡黄色の花を付ける。雄花は集散花序を形成して数個付き、雌花は葉腋に単生する。
 花は長さ1〜1.5cmくらいで、雌花の方が大きめ。花色が淡黄色であるため葉の陰に隠れて目立たない。



果実:
 果実は液果で品種により形状や大きさが異なるが、大きなものは直径8cm位になる。形状はトマトの様に横長のものと、ドングリの様な縦長のものがある。いずれも熟すと柿独特の橙色に色づく。
分布 *本州(東北地方南部以西)、四国、九州に分布する。
*中国原産であるので完全な野生の柿木はないが、人里近い山野には野生化した柿木も見られる。
利用 *果樹として栽培される。柿木を集中的に植栽して土地は柿畑と呼ばれる。
*材は緻密で堅いので、家具や茶道具などに使われる。特に黒い模様ができた材は黒柿と呼ばれ、高級家具の材料として珍重される。
その他 *柿の実の3大生産地は和歌山県(23%)、奈良県(14%)、福岡県(7%)である。
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