感動樹木HP__樹木の見所 (14H10)

名称 シダレヤナギ(枝垂れ柳)、 別名:イトヤナギ、
総称:ヤナギはヤナギ科ヤナギ属の樹木の総称であるが、一般にヤナギと言う時にはシダレヤナギを表していることが多い。
名前の由来:
 古く矢を作る材料として使われ、「ヤノキ」と言ったのから転じて「ヤナギ」に成ったと言う説がある。また中国ではヤナギを表す漢字として「楊」が使用されるがその漢字の発音「ヤン」から「ヤンの木」→「ヤンナギ」→「ヤナギ」となったとの説もある。
 シダレヤナギは枝垂れたヤナギの意味。イトヤナギは枝が糸のように細いことから来ている。
分類 ヤナギ科ヤナギ属、  落葉広葉高木  
見所 *ヤナギ属の樹木にはシダレヤナギ、ネコヤナギ、イヌコリヤナギなど多数あるが、単にヤナギと言うときにはシダレヤナギを表していることが多く、公園や街路でよく見かけ、ヤナギ属の代表となっている。
*細く長く伸びた枝に細長い葉が沢山付き、枝垂れた枝が風に揺れている様子は涼しげで風情がある。他の樹木には無い趣があり、公園樹や街路樹として多く植えられている。歌に詠われた「銀座の柳」はこの種である。
*シダレヤナギは中国原産であるが奈良時代に渡来し、その姿形が日本人の好みにマッチし、多くの日本絵画や詩や歌に登場し、日本文化に根付いてきた。
*「花は紅、柳は緑」の諺があるように、樹木の緑を象徴するものとしてシダレヤナギが注目されてきた。
*「ヤナギに風折れ無し」のことわざのように、しなやかな枝で暴風をたくみにかわして生きる柳の姿は、人間の生き方の手本とも成っている。
*柳の下に幽霊が出るとの言い伝えがあるが、ヤナギは池や井戸や川など水辺に植えられることが多く、昔は水に身を投げて死ぬ人が多かったことや、シダレヤナギの姿が幽霊を連想させることなどが影響しているのであろう。
*枝垂れ形の樹木では葉の位置が低くなるので、他の樹木との日光争奪戦では不利である。一方、しなやかな枝は風雪害に強い。これらの長所短所があいまって、枝垂れ柳は他の高木にじゃまされにくい水辺に多く育っていると考えられる。
代表的姿形 樹形:
 主幹は直立するが曲がりがちである。主幹と枝との区別は比較的はっきりし、太い枝は上方向に伸びるが、枝先が細く長く伸び下垂して枝垂れ形の樹形となる。高さ10〜25mの高木となり、大きいものは幹の直径1m越えるものもある。



樹皮:
 樹皮は灰褐色で縦に裂け目が入る。
葉:
 葉は互生し長さ8〜13cm、幅1〜2cmの細長い披針形、表は濃緑色で裏は粉白色を帯びる。


 春先の淡緑色の新葉と淡黄色の花を付けた枝垂れ柳は独特の味わいがある。
 下写真:春先のシダレヤナギ



紅葉:
 10〜11月、気温が下がると黄褐色に紅葉(こうよう)する。
花:
 花期は3〜4月、葉の展開と同時に開花する。雌雄異株で共に穂状花序の花を付ける。雄花穂は長さ2〜4cmで黄色、雌花穂は長さ1.5〜2cmで緑色。
 シダレヤナギの雄花穂


 日本で植えられているシダレヤナギの多くは雄株であり、苗木は挿し木で作られる。したがって、シダレヤナギの雌花と実を見かけることは少ない。


実:
 果実はさく果で5〜6月ごろ熟して裂けて開く。
分布 *中国原産であるが古く(奈良時代)に渡来し、北海道南部から本州・四国・九州に広く植栽され、野生化したものも見られる。
*水辺に植栽されることが多いが、本来は乾燥にも強い樹種である。
利用 *枝垂れ形の樹形の面白味から公園樹、街路樹として植えられる。
*細く長い枝は花材や細工物に使われる。材はまな板や楊枝などに使われる。
その他 *ロッカクヤナギと呼ばれ、枝が地面に付くほど大きく枝垂れるヤナギがあるが、かって京都の六角堂の前に見事に枝垂れたシダレヤナギがあり、以後この種のヤナギがロッカクヤナギと呼ばれるようになった。
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