感動樹木HP__樹木の見所 (14I10)

名称 スダジイ(すだ椎)、  別名: イタジイ(板椎)、ナガジイ(長椎)、  
総称:「シイ」はシイ属の樹木の総称であるが、単にシイと言った時はスダジイを表していることが多い。
名前の由来:
 「シイ」は万葉集にも登場する古い呼び名であり、その語源もはっきりしていないが、シイの実は自然落下して木の下にあることから「下(シ)」と「実(ヒ)」から「シヒ」となったという説がある。
 スダジイについてはその実が巻貝の一種の「シタダミ」に似ていることから、シタダミシイ→スダジイとなったとの説が有る。またシイタケの原木をスダギと呼ぶことが有り、シイタケ原木に使う木の意でスダジイとなったとの説もある。
分類  ブナ科シイ属、  常緑広葉高木  
見所 *シイ属は南方系の樹木であり、日本列島は自生する北限である。福島・新潟県以南に2種(スダジイとツブラジイ)が生育する。
*スダジイは暖地の山地に生える常緑で高木の樹木として目立つ存在である。特に5,6月ころ、薄黄色でススキの穂の様な花を樹冠いっぱいに咲かせている様子は遠くからもよく目立つ。神社や公園に植栽されていることも多い。
*スダジイは材が硬く、耐潮性が強く、丈夫であるため巨木になりやすい。日本の巨樹・巨木リストにおいて、登録本数で見るとシイノキはイチョウに次いで第5位であり、全登録巨樹・巨木の7.2%を占めている。また幹周が10mに達するほどに成長したものも確認されている。
*一方、同属のツブラジイは寿命が短いため、樹齢数百年を超え巨樹・巨木の域に達しているシイノキはほぼすべてスダジイである。
*果実には渋がなく、そのまま食べられるので、縄文時代の農耕が定着する以前の昔は貴重な食糧であった。現在でもクッキーの材料などに使われ、ナッツのような食感がして美味しいといわれている。
*スダジイはシラカシ、アラカシ等ブナ科コナラ属の常緑広葉高木と似ている面が多いが、葉の表と裏の色の違い、堅果が殻斗(堅い皮)をかぶっていること等はっきりした違いが有り、区別しやすい。
代表的姿形 樹形:
 成長すると高さ15〜20m、幹の直径1〜1.5m程度になる。太い枝を四方に伸ばし、よく枝分かれして卵形の丸い樹冠を形成する。
 下写真:横浜・港が見える丘公園のスダジイの大木



樹皮:
 樹皮は黒褐色で縦方向に深く割れ目が入る。若枝は褐色を帯びた灰緑色で、楕円形の皮目が多い。
 老木では樹皮に波打つような深いしわやコブが生じる場合もある。下写真:スダジイの老木の樹皮
葉:
 葉は単葉で互生し長さ6〜15cm、幅2.5〜4cmの広楕円形。葉は厚い革質であるが表と裏で色が大きく異なるので、樫など他のブナ科の樹木と区別が付けやすい。
 
 表は深緑色で光沢が有る。


 裏は銀白色〜灰褐色で金属のような色合。
 
花:
 雌雄同株で雌雄異花。5月下旬〜6月に開花し強い臭いを放つ。
 雄花序は長さ8〜12cmの穂状で新枝の下部に付き、薄黄色の小さい花を密に付ける。花序は上向きに伸びるが、軸が繊細なため先端は垂れる。
 雌花序は長さ6〜10cmで新枝の上部の葉腋から直立する。
 スダジイの雄花



実:
 果実は長さ1.2cm〜2cmの卵状長楕円形の堅果で、翌年の秋に熟す。果実はいわゆるドングリとは多少趣が異なり、はじめ殻斗に包まれているが、熟すと殻斗が3裂して実が現れる。
 青いスダジイの果実


 熟して殻斗が裂開したスダジイの果実
分布 *比較的温暖な地域に生育し、本州の福島県・新潟県以南、四国、九州に分布する。
利用 *庭園や社寺などに植栽されたり、防火・防風樹として利用される。
*材は器具材、建築材、シイタケ栽培の原木、薪炭材などに使用される。
*果実はアク抜き不要で食用となるので、昔は貴重な食料となっていた。現在でも果実を細かく砕いて、クッキーに混ぜたり乗せたりしてドングリ・クッキーを作る。
*樹皮はタンニンが多く、黄八丈の黒色部の染料に用いる。
その他 *東京都中野区、目黒区、神奈川県横浜市、伊勢原市、茨城県石岡市、和歌山県有田市などは自治体の木にシイを指定している。
*同属の「ツブラジイ(コジイ)」は堅果が長さ6〜13mmと小さく、樹皮に深い割れ目ができない。
*シイの名が付く樹木として「マテバシイ」があるが、これは葉の形や堅果の形が大きく異なり、シイ属ではなく別属(マテバシイ属)の樹木である。
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