(106) 禅の心にも通じる奇樹 恩徳寺の結びイブキ 本州の西の端、下関市豊北町に小さい漁港があり、ここは室町時代に中国地方を支配していた大内氏の朝鮮交易の母港:肥中港として栄えた港です。その港を見おろす高台に恩徳寺があり、そこに「結びイブキ」と呼ばれる奇樹があります。 |
(106-1) 恩徳寺とイブキ(息吹) |
(106-2) イブキの大木 イブキは前から見ると地面まで垂れ下がった枝葉で幹は見えず、どのような樹かわかりませんでしたが、後ろに回ってみると樹形がはっきりと見えました。 |
幹の太さの割には樹高は6mと低く、全体にずんぐりとした感じです。このような樹形は落雷などにより主幹が失われた樹木では時々みかけますが、このイブキはそれとも違い、巨大なキノコのような独特の雰囲気を醸し出していました。 |
(106-3) 枝を結び合わせたようなイブキ 近付いて仔細に見て、その異形ぶりに唖然とさせられました。何本かの太い枝が複雑にからみあい、上から強い力で押しつぶしたようになっています。「結びイブキ」と言うのは”枝を結び合わせたイブキ”と言う意味だったのです。イブキは幹や枝が曲がりくねり、荒々しい樹形になりやすい樹木ですが、 このような特異な樹形のイブキは極めて珍しく貴重であり、昭和30年(1955年)に国の天然記念物に指定されています。 |
(106-4) 禅の心に通じるイブキ イブキは別名ビャクシン(柏槇)ともよばれ、厳しい環境でも耐え、荒々し姿の古木も多数みられる樹です。そのようなビャクシンは禅の心に通じるとして、禅宗の寺に多く植えられています。 |
樹木写真の属性 | |
樹 種 | イブキ(息吹)[ヒノキ科ビャクシン属] (「樹木の見所」のページにリンクしています) |
樹木の所在地 | 山口県豊北町神田肥中 |
撮影年月 | 2016年8月 |
投稿者 | 木村 樹太郎 |
投稿者住所 | 島根県邑智郡川本町 |
その他 |