(112) 四季を通じて楽しむ
丘の上の桜

「花に三春の約あり」とは良く言ったもので、今年もまた見事な桜の花が咲きました。また「花の命は短くて・・」も太古の昔から変わらず、花の時期はあっという間に過ぎ去ってしまいます。もうすこし長くゆっくりと桜を楽しみたいと思っておられる方は多いのではないでしょうか。そのような方の期待に応える桜が、横浜市都筑区八幡山公園にあります。早速見に行きましょう。

  

 (112-1) 春の桜
 八幡山公園の見晴らしの良い丘の上に10本位のソメイヨシノ(染井吉野)が1列に並んでいます。樹齢は40~50年と思われる中々の大木で「丘の上の桜」と呼ばれ、遠くからも良く見えます。今年もまた見事な花を咲かせてくれました。
 
染井吉野は葉の展開より先に花が咲き、開花時には木全体が花で覆われ、その上クローン種でもあるので沢山の木が申し合わせた様に一斉に花を咲かせ、まさに神業としか言いようがない景観を呈します。廻りに何も邪魔物がない丘の上の桜が、木全体をピンク色に染めて青空に浮かび上がる姿は、正に千両役者の独り舞台です。(写真撮影:2015年3月31日)

 

   (112-2) 葉桜

 桜の花が散り始めると、次第に赤みを増してきます。 また花が咲いてきたのかなと期待させられますが、これは桜の花ではなく、花弁が散ると後に濃紅色の萼片が残り、それが木全体を濃紅色に染めるのです。(左上写真:撮影2015年4月14日)
 散りゆく花を惜しむ人々のカーテンコールに答えるかのような桜の心憎い演出です。

 花が散るのを待っていたかのように葉の展開が始まり、「葉桜」を迎えます。「葉桜」と言われるのは花が散った後の、瑞々しい新葉が出そろうまでの状態を言い、真夏に葉が茂った状態は葉桜とは言いません。
 まだ記憶に新しい満開の桜色が、数週間後瑞々しい緑色に変わっているのを見るのは葉桜の醍醐味です。(左下写真:撮影2015年4月23日)

 

(112-3)夏の桜
長さ10cm以上の比較的大きな葉を密に付ける桜の真夏の緑は、春の華麗な姿からは想像できない力強さが感じられます。樹高10m余になる丘の上の桜は大きく枝を広げ、ゆったりとした木陰を作っています。さわやかな風が吹き抜ける丘の上の桜の木蔭は、夏の日の散歩の定番コースです。(写真撮影:2014年9月2日)
 
桜は四季の変化がはっきりと表れる樹種です。私たちの身の回りには沢山の色々な桜の木がありますから、その中からお気に入りの桜を見つけて置き、四季折々の変化を観察していれば多くの楽しい発見があるでしょう。

 

 (112-4) 桜の紅葉

 秋も深まり冷え込みが厳しくなると、丘の上の桜は他の樹木より一足早く色付きます。春の花があまりにも綺麗なためか、桜の紅葉はあまり注目されませんが、ボリューム感たっぷりの桜の紅葉は中々に見捨てたものではありません。大木全体が赤茶色に染まり、澄み切った青空の中に立つ丘の上の桜は秋の深まりを実感させてくれます。(写真撮影:2014年11月18日)

 赤系の紅葉は葉の中に残留した糖分が日光を受け化学変化して、赤色の色素に変化してできますが、きれいに紅葉するためには十分な日照が必要です。丘の上の桜は何も光を遮るものがなく、あふれるほどの日光を浴びて毎年美しい紅葉を見せてくれます。

  

  (112-5) 冬枯れの桜
冬枯れの桜もいろいろ見所を提供してくれます。雪が降った日の朝、雪化粧した桜が朝日を受けて輝く姿など格別です。
 
周囲を見渡せる八幡山公園の丘は、地域では人気の初日の出参拝スポットです。元旦の朝には沢山の人が丘に登り御来光を待ちますが、多くの人は丘の上の桜を背にして御来光を拝みます。それも悪くはないのですが、ここは上写真の様に丘の上の桜越しに御来光を拝むのはどうでしょう。丘の上の桜と共に新年を迎え、「また今年も綺麗な花を見せてくださいよ」の気持ちが桜に伝わるのではないでしょうか。(写真撮影:2016年1月1日)

  

  樹木写真の属性
 樹  種 ソメイヨシノ(染井吉野) [バラ科サクラ属]

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 樹木の所在地 横浜市都筑区中川七丁目 中川八幡山公園  
 撮影年月   本文に記載
 投稿者 中村 靖  
 投稿者住所 横浜市都筑区中川中央
 その他