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(157)巨樹といえども永遠ではない
練馬区・白山神社の大ケヤキ

東京・練馬区の白山神社に1本でも貴重なケヤキ巨樹が2本もあると知り、興味津々で見に行きました。訪ねてみると巨樹の威容というよりは、巨樹と言えども永遠ではなく、生きるものの儚さを教えてくれました。

  

 (157-1) 大都会の真ん中で頑張ってきたケヤキ(欅)

白山神社に通じる階段の下に1本のケヤキ巨木が立っていました。諸元は幹回り:8.0m、樹高:19m、推定樹齢:940年、この地域では類を見ないケヤキ巨樹であり国指定天然記念物になっています。家々が密集する大都会の中で、よくぞこのような巨樹に成長したと感嘆させられます。
 
この白山神社の大ケヤキは源義家が後三年の役の勝利を祈願して永保3(1083)年に奉納したものと伝わる、話題性のある巨樹です。昔は白山神社に沢山のケヤキ大木があったそうです。

 

 (157-2) 見当たらない、もう一本のケヤキ巨樹

日本の巨樹・巨木を収録した本によると、白山神社には神社の階段の下と上に各一本ずつ、2本のケヤキ巨樹があると書かれており、下写真左側に示すような、根元に大きなこぶがあるケヤキ巨樹が階段上に立っているとされています。しかしいくら探してもそれらしい巨樹は見当たりませんでした。
 
改めて説明掲示板をよく見ると、「階段上の株は平成27(2015)年10月の大風で折損してしまいました」と書き加えられていました。 階段上のそれと思われる場所(写真の右側)にはケヤキの根株も残っておらず、もう一本のケヤキ巨樹は跡形も無く消えてしまっていました。

  

 (157-3) 傷みが激しケヤキ巨樹

 もう一本のケヤキ巨樹が失われていたことを知り、心配になり改めて残っている一本の欅をよく見ると、確かに傷みが激しい。幹には多数のこぶができ、それもかなり腐朽が進み痛々しいほどです。大枝は5本の鉄柱で支えられ、やっと立っているという感じです。

 最近倒れた1本のケヤキ巨樹と、傷みの激しいもう一本のケヤキ巨樹を目の当たりにし、巨樹と言えども永遠ではなく儚い存在であることを思い知らされました。

 

 (157-4) 元気な姿を見せてくれたケヤキ巨樹

 2月に訪ねたときはケヤキ巨樹もすっかり葉を落としており、幹の傷み具合から見て木全体が枯れてしまっているのではないかと心配になるほどでした。
改めて夏に尋ねてみると、下写真のように力強く葉を茂らせており「良かった!頑張れよ!」の気持ちがこみ上げてきました。
樹齢900年余のケヤキは人間だと90歳余位になるのでしょうか。最後に残った1本のケヤキ巨樹に対する期待はいやが上にも高まります。

 

   樹木写真の属性
 樹  種 ケヤキ(欅)[ニレ科ケヤキ属]
 樹木の所在地 東京都練馬区練馬4-2 白山神社
 撮影年月  2021年2月、7月
 投稿者  中村 靖   
 投稿者住所  横浜市都筑区
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