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 (159)最後の力をふりしぼる
真庭市・箸立天満宮のビャクシン

天満宮と言うとウメ(梅)が通り相場ですが、岡山県真庭市の箸立天満宮には県下一のビャクシン[息吹ヒバ]巨木があるそうで、なぜ梅ではなくビャクシンなのか?、との思いに駆られます。また「箸立」という名前も風変わりな名前であり、何かと興味をそそられ訪ねてみたくなる天満宮です。

 

 (159-1) 小じんまりした社殿

 周りが人家や畑に囲まれた一角にその天満宮はありました。想像していたより小じんまりした建物で、周辺にビャクシンの大木らしい緑も見えませんので、はたしてここがお目当ての場所であるか心配になりました。しかし石柱には「箸立天満宮」大書されていますから間違いはなさそうです。

 

  (159-2) 確かにビャクシンの巨木
社殿の裏に回ってみると巨木がデンと立っていました。どうやら是が目指すビャクシン巨木のようです。説明掲示板によると幹周4.72m、樹高13m、推定樹齢700~1000年以上となっており、ビャクシンとしては県下一のものとして岡山県の天然記念物にも指定されています。
ビャクシン巨木の脇には比較的新しい菅原道真公の肖像画があり、これは近くの高等学校の絵画部と書道部の学生が作成したものであり、この天満宮が地域の人々に親しまれていることがわかります。
 
伝説によると、天安2年(858年)春、この地域の国守であった菅原是善とその子、菅原道真が高田庄(現岡山県勝山市)へ向かう途中この地で休息し、昼食に用いた箸を地面に立てたのが活着し、このビャクシンになったと言われています。
この伝説を聞くと、箸立天満宮とビャクシンの謎がすべて解けます。

  

 (158-3) 枯れそうなビャクシン

 幹は中々に立派なビャクシン巨木ですが、上を見上げると驚きました。落葉樹かと思うほどほとんど緑の葉が見えません。
 説明掲示板によると「近年このビャクシンは樹勢の衰えが顕著になり、平成10年(1998年)から3年をかけて樹勢回復治療をした」と記されていました。

 

  (158-4) 最後の力をふりしぼるビャクシン。
後ろに回り少しはなれたところから見た写真が下左側写真です。ビャクシンの全体の姿が良く分かります。下右側写真は1992年4月に撮影されたビャクシンの姿(渡辺典博著「巨樹・巨木」より)です。二つの写真を比較して見ると樹勢の衰えは明らかで、ビャクシンが最期の力を振り絞って頑張っているように見えます。
 
ビャクシンは厳しい環境に耐えて生き続けるさまが禅の心に通じるとして、好んで禅寺に植栽されています。
最後の力を振り絞って立っているかのように見える箸立天満宮のビャクシンにとって、これからがその真骨頂の見せ場かもしれません。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 ビャクシン(柏槙)[ヒノキ科ビャクシン属]
(別名:イブキ、イブキビャクシン、イブキヒバ)
(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  岡山県真庭市落合垂水字天神の木968
 撮影年月  2019年4月
 投稿者  木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他