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 (163)偶然出会った素晴らしい独立大木
庄原市・北川町のカキノキ

樹木ウォッチングで訪ねる樹木は、多くは天然記念物に指定されていたり、あるいは巨樹巨木本に取り上げられていたりして、あらかじめその樹の存在を知って訪ねることが多いのですが、時に、偶然出会う感動的な樹木もあり、それもまた樹木ウォッチングの魅力です。

 

 (163-1) 田園の真ん中に立つ巨木

 広島県北部の樹木探訪で田園地帯を通る県道を走っていたとき、広々と広がる田畑の中にポツンと一本の大木(左写真中央)が立っているのが目に入り思わず車を停めました。
 田畑の中の木は日陰になり作物の収穫に悪影響があるので、殆ど切られてしまうのですが、このように一本だけ、しかも遠目にもかなりの大木が立っていることは見慣れない景色です。そのような樹木には何かそれなりの曰くがあることが多く、興味をそそられる樹木です。

 

 (163-2) 驚くほど巨大なカキノキ

 近付いてみるとそれはカキノキ(柿木)でした。幹の直径は1mを越していると思われる、カキノキとしては驚くほどの巨木です。左写真では幹が2本あるように見えますが、これは落雷を受け幹が割れて現在の姿になったと思われます。幹に割れ目が入り黒く焼け焦げたあとがそのことを物語っていました。
 樹齢数百年以上のかなりの老木に見えましたが、枝葉は良く茂り、訪ねた時期はまだ青い実でしたが多数の柿の実もなっていました。

 後ほど、環境省の巨樹巨木林データベースを調べてみたら、カキあるいはカキノキとして登録されている中で、幹周3m以上のものが14件あり、最大のものは岡山県鏡野町の幹周4.47mの物ですが、幸か不幸か今回見たカキノキは登録されていませんでした。これが登録されればベスト10に入る全国的にも有数のカキノキ巨木です。

  

  (163-3) 傍に立つ祠
別の方角から見ると柿木のすぐ近くに小さな祠が建っていました。祠には説明書きの様なものは何もありませんので、柿木と祠の関係ははっきりわかりませんでしたが、この地域では昔から荒神信仰が盛んでしたので、この柿木が何らかの信仰の対象になって大切に守られ、このような巨木に育ったことは想像できました。
 
荒神信仰の形態はいろいろあるようですが、屋外においては樹木や塚のようなものを荒神として祀り、牛馬の安全や家屋の火災・盗難よけを願う例もあるようです。

 

  (163-4) 堂々とした独立大木の魅力
少し離れた所から見ると柿木巨木の全体像が目に入ってきます。広い空間を独り占めしノビノビ育った独立大木は実に美しく堂々としています。帰りがけ何度も振り返って偶然出会った独立大木との別れを惜しみました。
 
   樹木写真の属性
 樹  種 カキノキ(柿木)[カキノキ科カキノキ属]

(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  広島県庄原市川北町2丁目
 撮影年月  2021年8月下旬
 投稿者  木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他