(105) 東北鎮撫の歴史を語る
鹿島・香取両神宮の樹木

鹿島神宮と香取神宮は本州の東端に位置し、創建時代の昔は東北地方鎮撫の最前線として重要な役割を果たし、長い歴史を持つています。古くから神宮と呼ばれる神社は伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮の3社のみと言われ、日本の歴史の中における鹿島・香取両神宮の重みが理解できます。そのような両神宮に見られる樹木は東国の長い歴史をかたり、ことのほか興味深い樹木です。

    

 (105-1)鹿島神宮No2大杉

 鹿島神宮は約70haの広大な神域を擁し、そのうち約40haはいわゆる鎮守の森として杉、モミ、シイ、タブなどの大木が生い茂り、神宮の長い歴史を物語っています。鹿島神宮の森には生育北限と南限の樹木が混ざり合い、その種類は600種以上に及び、学術的な価値も高く、「鹿島神宮樹叢」として県の天然記念物に指定されています。

 そのような鹿島神宮の朱塗りの楼門の脇には、次郎杉と呼ばれる杉の巨木(左写真、幹周6.4m、樹高40m)が立っています。写真に写っている人物と比較し、この杉の巨大さがわかっていただけると思いますが、これでも鹿島神宮の杉巨木の中ではNo2の存在です。

 

  (105-2) 鹿島神宮No1杉巨木

 鹿島神宮最大の杉巨木は幹周10.8m、樹高43m、推定樹齢1200年の第一級の杉巨木です。御神木とされ本殿の裏手にそびえていますが、本殿を囲む塀の中にあり、近付いて観ることができません。遠くから仰ぎ見るほかはないのですが、おりしも開かれる夏祭りのチョウチン越しに、御神木をカメラに収めました。

  

  

   (105-3) 奥参道の杉並木

 本殿から奥宮に至る奥参道の両脇には杉の大木が林立し、荘厳な雰囲気を醸し出すとともに、「鹿島神宮樹叢」の広大さを肌で感じさせてくれます。

  

  (105-4) 香取神宮の杉ご神木
香取神宮は東国三社に数えられ、鹿島神宮と並び東国を代表する神宮です。境内にはその長い歴史を物語る、多数の杉巨木や史跡樹木があります。
 
拝殿前に立つ大杉で、幹周7.4m、伝承樹齢1,000年余の杉巨木(上写真)は香取神社の御神木となっています。歌人:落合直文はこの御神木を観て「このめぐり いくさかありと四人して いだけどたらず 神のふる杉」の一句を詠んでいます。

  

 (105-5) 大正天皇お手植えの松

 香取神宮境内には明治44年(1911年)に大正天皇(当時皇太子)のお手植えによる松(クロマツ)が樹齢100年を超え大きく育っています。左写真の人物の背後の樹木がお手植えの松ですが、そのすらりとした樹形に驚かされます。普通、松の木は主幹がある程度まがるものですが、このお手植えの松は梢までまっすぐに伸び、遠くから見ると杉や檜に見間違えるほどです。左隣に杉の巨木が立っていますが、松はこの杉より高くそびえています。

 このほかにも香取神宮には以下の様な多数の史跡樹木が有り、この神宮の歴史の長さが伺えます。
斥候杉(ものみのすぎ):源頼義が斥候に登らせたという杉巨木(非現存)
三本杉:源頼義の祈願により三又に分かれたという杉(一本は枯死)
木母杉:徳川光圀が貞享元年(1684年)に参拝した時に、境内に立つ多数の杉の母であろうとして名付けられた杉。楼門の左に立っていたが現在は枯死。
黄門桜 :徳川光圀が貞享元年(1684年)に参拝した時の手植えと伝えられる桜(現在はそのひこばえがある)

  

   樹木写真の属性
 樹  種 スギ(杉)[ヒノキ科スギ属]
クロマツ(黒松)[マツ科マツ属

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 樹木の所在地  茨城県鹿嶋市宮中字鹿島山2306-1 鹿島神宮 
 千葉県香取市香取1697 香取神宮
 撮影年月  2017年8月
 投稿者  上滝 吉洋    
 投稿者住所  横浜市都筑区中川中央
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