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 (145) ここにもあります日本一のスダジイ
松江市・志多備神社のシイの木

鳥取県の「伯耆の大シイ」は日本一のスダジイとして、このホームページでも紹介しましたが、島根県の「志多備神社のスダジイ」も日本一のスダジイとされています。そして、日本一のスダジイとされる木が他にももう一本あり、問題を厄介にしています。ここは自分の目で確かめるのが一番と考え、まず「志多備神社のスダジイ」を訪ねました。

 

 (145-1) 日本一のスダジイ

 訪ねてみるとさすがに日本一のスダジイだけあって、駐車場には左写真のように「日本一のシイの木・スダジイ」と明記した立派な標識と説明掲示板がありました。
 写真の左奥の山際に見える石段と鳥居のところが、日本一のシイの木がある志多備神社です。 立派な標識をみて、日本一のシノの木に会う期待がいやが上にも高まってきました。

 

  (145-2) 参道脇に立つスダジイ巨木
神社に通じる長い階段の脇に大きな古木が立っていました。近づいてよく見ると間違いなくスダジイの巨木でした。幹には大きな空洞ができ、かなりの樹齢を重ねているようです。以前見た「伯耆の大シイ」と比べて少し見劣りがするように感じましたが、周りを見渡してもそれらしい木もなく、また案内板も無いので、これがお目当ての「志多備神社のスダジイ」であろうと納得し、写真に収めました。
 
日本一のスダジイと呼ばれている「伯耆の大シイ」は本HPでも2019年3月に紹介(「(124)日本一のスダジイ巨木 鳥取県・琴浦町の伯耆の大シイ」)していますが、実は1989年に行われた環境庁の巨樹巨木林調査で、「伯耆の大シイ」と「志多備神社のスダジイ」の幹周がどちらも11.4mで最大であったので、ともに日本一と認定され、日本一のスダジイが2本存在することになったのです。

  

 (145-3) 茂みの中にひそむ黒い大きな物

 期待したほどでなかったので少々がっかりして、写真撮影も終わりそのまま帰ろうかと思いましたが、本殿にお参りして帰るのが礼儀であろうと石段をさらに登り、本殿にお参りしました。

 お参りも済ませふと周りを見渡すと、茂みの中に左写真のような、なにか黒々とした異様なものが見えました。
「あれはいったい何なのか?」

  

  (145-4) これぞ日本一のスダジイ
茂みの中に入っていくと、そこには驚くべきものが鎮座していました。巨大な樹木です。これこそが訪ねる「志多備神社のスダジイ」だったのです。
 
幹周11.4m、樹高20m、推定樹齢数百年以上。幹の太さの迫力と地上3mくらいのところで大きく枝を広げている雄大さ、日本一のスダジイの名に恥じない威容を誇り、見るものを感動させずにはおきません。

 

 (145-3) 幹に巻きつく八岐大蛇

 木の根元に巻きついているものはシメ縄ではなく、藁でつくった大蛇です。この地域には有名な八岐大蛇(やまたのおろち)伝説がありますが、伝説の大蛇を模したものです。この地域では巨木は単なる大きな木ではなく、伝説とともに生きる存在です。

 実はスダジイについては日本一と言われる木がもう一本あります。第一回巨樹巨木林調査以後、東京都・御蔵島で幹周19.5mのスダジイが発見されました。幹周の数値だけでは御蔵島のスダジイが日本一ですが、それでは「伯耆の大シイ」と「志多備神社のスダジイ」をどうすればよいのか?

 オリンピックで獲得した金メダルは、次の大会でそれ以上の記録が出たからといって取り消されることはありません。樹木の日本一もオリンピックの金メダルのようなものと考えれば、日本一のスダジイが3本あっても良いのではないでしょうか。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 スダジイ(すだ椎)[ブナ科シイ属]

(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  島根県松江市八雲町西岩坂  
 撮影年月  2020年8月、
 投稿者  木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他