感動樹木HPトップへ
 (148) 島根県にも有ります一本桜巨樹
三隅大平桜

三春の滝桜(福島県)や山高神代桜(山梨県)など日本五大桜と呼ばれる一本桜の巨樹は東日本です。西日本には見るべきサクラ(桜)は無いと思っている方も居られるかも知れませんが、島根県(西日本の山陰地方の県)にも自慢できる一本桜の巨樹があります。

  

  (148-1) 小高い丘の上に立つ桜
海岸を走る国道9号線をそれ、中国山地の中に入り緩やかな上り坂をかなり進むと、小高い丘の上にその桜は立っていました。下写真の左側の桜が目的の三隅大平桜です。
写真には写っていませんが、桜の木の向こう側に桜の所有者:大平さんの家があります。大平さんの先祖が680年位前、馬をつなぐために植えたのがこの桜の木の始まりと言われています。
 
上写真の右側に写っている桜は大平桜二世(1号)です。さらにその右側に見えるのが二世2号です。三隅大平桜はかなりの樹齢に達していますが、二世も順調に育ち盤石に見えます。

 

  (148-2) 見る人を感動させる偉容
三隅大平桜は幹周り6.32m、樹高17.0m、推定樹齢680年。近寄って正面から見るとドッシリとした太い幹と大きく広がる枝いっぱいに花を咲かせた姿は、見る人を感動させる偉容です。
 
三隅大平桜を長年観察されている方の話によると、「三隅大平桜は老木のため花を咲かせない年もある。今年(2020年)はこの20年間で最も咲きぶりが良い」とのことでした。20年ぶりの素晴らしい花に巡り合えた喜びから、三隅大平桜の花が益々輝いて見えました。

 


 (148-3) 珍しいサクラ 

 三隅大平桜は単に大きいというだけでなく、ヤマザクラとエドヒガンの両方の特徴を備えている珍しいサクラです。ヤマザクラとエドホガンの交雑種とも、ヤマザクラの変種とも言われ「ミスミオオヒラザクラ」との植物学上の名前(品種名)も付けられています。

 左上側写真のように花を良く見ると、これは白色中輪で萼筒の丸いふくらみもありませんのでヤマザクラに近く、新葉の色は赤褐色と言うよりは黄褐色でエドヒガンに近い特徴です。
 左下側写真のように満開時の花が遠目には純白に見えますが、これは葉の展開より先に花が開いていることを示しており、これはエドヒガンの特徴です。

  

 (148-4) 新入生の門出を祝す三隅大平桜 

 訪ねた当日は満開の大平桜を見ようと沢山の人が訪れていました。そのなかには小学校新入生と思われる子供たちが桜の下で入学記念写真を撮っていました。 三隅大平桜も子供たちの門出を祝そうと勢いっぱいに美しい花を咲かせているように見えました。

 この子たちにとって三隅大平桜は入学記念写真を撮った思い出の樹木となり、一生の宝物になるでしょう。20年後、50年後、人生の節目々々でこの桜の木を訪ねて来れば、「やー良く来たね!」と暖かく迎えられることでしょう。

   

   樹木写真の属性
 樹  種 ミスミオオヒラザクラ(三隅大平桜) [バラ科サクラ属
(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  島根県浜田市三隅町矢原  
 撮影年月  2020年3月29日、
 投稿者   木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他