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 (150) 巨木の郷のシンボル巨樹
鳥取県・古布庄の大スギ

鳥取県琴浦町の古布庄(こうのしょう)地区は巨木の郷とよばれ多数の巨木があり、このHPでも「伯耆の大シイ」や「天法輪寺の大イチョウ」などを紹介してきましたが、ここで巨木の郷のシンボルとでも言うべき「古布庄の大スギ」を紹介します。

 

 (150-1) 路傍に突然現れた小さな鎮守の森

 古布庄地区を縦断して南北に通る県道44号線を進み、もうすぐ村境というところで道路わきに突然神社が現れ、停車してみるとそれが「古布庄の大スギ」があると聞く大正神社でした。
 鎮守の森は余り大きくないようでしたが、スギ、ケヤキキ、アスナロ、アカガシなど多様な大木が見られ、由緒ある神社を伺わせていました。ただ神社前面には目指す「古布庄の大スギ」を思わせるほどの巨樹は見えませんでした。

 

  (150-2) 大事に守られ育つスギ巨樹
社殿の裏側に回ってみるとそこには一目でそれとわかる杉巨樹が立っていました。幹周7.2m、樹高35.2m、推定樹齢800年、実に堂々と立つ杉巨樹であり、鳥取県の天然記念物に指定されています。このスギ巨樹、古くから大正神社の神木として当地の人々から崇敬され親しまれてきましたが、写真の様な立派な柵で囲われており、今も大事に守り育てられていることが伺えました。
 
普通、神社の御神木とされる樹木はその神社の名前を冠した呼ばれるものですが、この大スギはそうはなりませんでした。このスギ巨樹は1957年(昭和32年)に県指定天然記念物に指定されるとき「古布庄(こうのしょう)の大スギ」と名付けられ、古布庄地区のシンボル的存在になりました。

  

 (150-3) ひときわ高く堂々と立つ大スギ

 この種の鎮守の森の巨木は、多くは他の樹木の陰になり、遠くから全体の姿が見れるのは稀ですが、ここでは鎮守の森のまわりは広々とした田畑が広がっていたので、遠くからこのスギの全体の姿を見ることができました。

 すらりと伸びた美しい樹形のスギ巨樹です。左右にカシノキやアスナロの大木を従え、ひときわ高くそびえている姿は、実に美しく堂々としています。

 巨木の郷と呼ばれる古布庄地区には「古布庄の大スギ」の他に「伯耆の大シイ」や「天法輪寺の大イチョウ」や「別宮の大イヌグス」や「山川谷のカツラ」など枚挙にいとまがありませんが、「古布庄の大スギ」が巨木の郷のシンボル的存在であることには、この姿を見ると納得させられました。 

 

 (150-4) 伐採されずに残った神様の木

 数百年前、この地が田畑に開墾されたとき、すでにこの地に神社があったのではないでしょうか。この大スギを境に左側はすべての木が切り倒されて田畑になったのに対し、この大スギから右側は神様の木として残されたのではないでしょうか。今でもこのスギの木を神様の木として慈しむ心は、この木を囲む立派な柵に現れているように思われます。

 古布庄地区では毎年秋にこの古布庄の大スギの前を出発点とし、地区の巨木を巡る二人三脚駅伝が行われるそうです。

 巨木の郷は単に巨木が多いだけでなく、樹木を慈しむ人々の心があって、はじめて可能であることを、このスギ巨樹は語っています。

 

   樹木写真の属性
 樹  種 スギ(杉)[ヒノキ科スギ属

(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  鳥取県東伯郡琴浦町中津原429  
 撮影年月  2018年11月
 投稿者  木村樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他