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 (161)800年余続くSDGsの証
雲南市・貴船神社のシイ

島根県雲南市の貴船神社に樹齢約800年のシイの巨木があります。この巨木は単なる御神木ではなく、800余年の長きにわたり水源を涵養し環境を守ってきたSDGs樹木と言えるでしょう。

 

 (161-1) 由緒深そうな神社の佇まい

 小高い丘の上に貴船神社と思われる神社がありました。この一帯は昔から水害の多い土地だったため、京都の貴船神社から水を司る神:貴船大明神を勧請して、約800年前の元暦年間(1180~1185年)にこの地に貴船神社が創建されたそうです。

 写真の様に境内に通じる長い階段脇にかなりの大木が立っていましたが、これは遠目にもスギ(杉)とはっきりわかり、目的の「貴船神社のシイ」ではないようです。しかし入口にこれだけの大木が立っていることは、この神社の由緒の深さを伺わせると共に、これから見る「貴船神社のシイ」に対する期待感も高まります。

 

  (161-2) 社殿の傍に立つそれらしい巨木
社殿横の茂みの中にそれらしい巨木が立っていました。この巨木は根が激しく露出し、石の鳥居を飲み込みつつあり、いかにも由緒ありげな巨木です。
一般に「シイ」というとき、スダジイを表すことが多いのですが、眼前の巨木はスダジイの雰囲気と少し違うように見えました。ここは本当に貴船神社なのか?そしてこれが「貴船神社のシイ」なのか?ちょっと心配になり、改めて神社社殿の中を覗いてみたら「貴船神社」と大書された旗が見えましたから、ここは間違いなく貴船神社であると確認でき、この巨木が「貴船神社のシイ」であろうと納得し写真に収めました。
 
家に帰り写真を整理してみると、説明掲示板の最後の所に『「貴船神社のシイ」の巨木は、左手、愛宕神社参道坂道を上がったところです』と書かれていました。先に私が見たものは「貴船神社のシイ」ではなく木山神社の樫木だったようです。

 

  (161-3) 再度訪ねて会えたシイの巨樹
2ケ月後、再度貴船神社を訪ね、神社裏山を登りかなり離れた所で、ようやく下写真の様な「貴船神社のシイ」に会うことができました。このシイはやはりスダジイで、幹周8.4m、樹高16m、推定樹齢800年の堂々たる巨樹であり、遠路を再度訪ねた甲斐がある巨樹でした。巨体を隠すかのように根元に無数のひこばえが立ち、緑濃い葉に囲まれていました。
 
このスダジイ巨樹が神社の庭でなく裏山の奥に立っていることは、単なる御神木としてではなく、もっと別の目的で守り育てられたのではないのでしょうか。

  

 (161-4) 800年余にわたり環境を守ってきたシイの巨樹

 スダジイ巨木の背後に回ってみると、その根元が良く見えましたが、左写真の様に根が著しく露出し、2m近く根上がりの状態になっていました。これは長い年月の間に地面が浸食・流失して根上がり状態になったと思われ、この状態からもこのスダジイの樹齢の長さが分かるとともに、この木が大きな土砂崩れを防いで来たことも伺えます。
 
 この地域には昔は沢山のスダジイ大木があり、それは800余年前、貴船神社創建の頃に植えられたものと考えられていましたが、昭和8年(1933年)にこの地が公園に整備されたとき、殆どは伐採されこのスダジイだけが残され今日に至っているようです。

 貴船神社が水源の水を司る神であることを考えると、その周囲に育った多数のスダジイの大木は、水源涵養林としての意味を持っていたのではないでしょうか。 「貴船神社のシイ」は800年余にわたり水源を涵養し、環境を守り、今様の言葉でいうSDGsを実践していたと言えるでしょう。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 スダジイ(すだ椎)[ブナ科シイ属]
(別名:シイ、イタジイ、ナガジイ)
(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地  島根県雲南市加茂町南加茂
 撮影年月  2020年8月,10月
 投稿者  木村 樹太郎   
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町
 その他