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 (170) 往時のマツ(松)の景観を今に残す
真鶴半島のマツ巨木群

寒い冬にも緑を絶やさず大空にそびえる松は強い生命力の象徴として、古来より日本人が最も愛してきた樹木であり、最近でも正月になれば門松や松飾として親しまれていますが、近時は松くい虫の被害で往時のような松の姿を見ることも少なくなってしまいました。しかし神奈川県・真鶴半島に行くと魅力あふれる松大木群を見ることができます。

 

 (170-1) スダジイ純林のお出迎え

 真鶴半島の先端部は県立の自然公園になっていますが、そこに通じる道の両側にスダジイ純林が茂り、道はスダジイのトンネルになり、異次元世界へのお出迎えをしています。
 

  

  (170-2) 江戸時代に植林された木々
公園内の森林には散策道が設けられおり、遊歩道の両側には松を中心とした樹齢数百年と思われてう巨木がそこかしこに立ち、ふだん親しんでいる横浜の緑道で感じる雰囲気とはまったく違います。このような巨木の森がどうして残されてきたのでしょうか。
 
かつて真鶴半島には樹木らしい樹木は無かったそうですが、江戸時代に精力的な植林が行われ、それが魚つき林として保護されきたそうです。
森林内のあちらこちらに「魚つき林」の掲示がありました。相模湾に突き出した半島の森から流れ出す木の葉などが豊かな海の資源を育てているのです。魚つき林に指定され保護された来たことが今日の松巨木林が残る大きな要因だったようです

  

 (170-3) 見事な亀甲紋のマツ巨木

 写真のような2本の大木が並び立っていました。右側の木はその見事な亀甲紋から松の木であることが遠目にもはっきりとわかります。これほど見事な亀甲紋はめったに見ません。松はその大きさもさることながら、注目すべきは見事な亀甲紋でしょう。亀甲紋はめでたい物として家紋など紋章にも積極的に取り上げられてきました。
 松をモチーフとした紋章には松のいろいろな特徴が取り上げられ、樹形をモチーフとした「一つ松」、樹皮をモチーフとした「松皮菱」、松の葉をモチーフとした「松葉菱」など多彩です。家紋などの紋章に取り入れられている樹木は多数ありますが、、三つの特徴が紋章化されているのは松だけであり、これも松が人々に愛され親しまれてきた現われでしょう。

  

  (170-4) 幹周5mを超える松巨樹

 遊歩道をふさぐように写真のような巨大な松が立っていました。大きさを測ろうと抱きついてみてもとても手が届きません。目測では幹周が5m以上ある巨樹クラスの松と思われ、遊歩道から目にした松としては最大のものです。
 
巨樹クラスの松は他に無いわけではありませんが、それもほとんどは神社や仏閣の特別に保護されてきた松であり、このように山林に立っていることは驚嘆させられることです。

 

 (170-5) 松籟さつさつと空にそびえる松大木

 見上げるとひときわ高くそびえる松のこずえが、相模湾の風を受けて松籟さつさつとゆれていました。古く万葉の昔から数々の歌に詠まれ、多くの浮世絵にも描かれてきた松の姿を、ここ真鶴半島ではまだ見ることができます。

 

   樹木写真の属性
 樹  種 クロマツ(黒松)[マツ科マツ属]
(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地 神奈川県真鶴町半島
 撮影年月  2022年1月
 投稿者  中村 靖   
 投稿者住所  神奈川県横浜市都筑区
 その他