(91) 日本最古の学校を語り伝える 足利学校の樹木 下野国(しもつけのくに)足利荘(現在の栃木県足利市)に足利学校と呼ばれ日本最古といわれる学校があり、今にその姿をとどめています。天分18年(1549年)、宣教師フランシスコ・ザビエルが最初に立ち寄った薩摩からインド・ゴアへ宛てた手紙の中で「日本国中最も大にして、最も有名な坂東の大学」「学徒3千人」と紹介しています。 そのような歴史ある足利学校には、そこで学ぶもの、学び方、長い歴史、を語る3本の樹木があります。 |
(91-1) 足利学校と孔子像 |
(91-2) 学ぶものを語る「楷樹」 足利学校の樹木の中で特筆すべきものは、"儒学の象徴"あるいは"学問の木"と呼ばれる「楷樹(かいじゅ)」でしょう。 中国の孔子廟の周りに多数の楷樹が植栽されており、儒教のシンボルツリーのような存在になっています。楷樹は日本には自生しない樹木であるため、大正4年(1929年)に東京林業試験場長の白澤保美氏が楷樹の種を持ち帰り育て、日本の儒教に関係する主な施設で植樹されました。足利学校では2本植えられましたが内1本は失われ、残る1本が足利学校遺跡図書館前に堂々とした大木に育っています。(下写真左) |
楷樹は和名を"ナンバンハゼノキ"と言い、成長して樹高25m余の大木になります。葉は偶数羽状複葉で秋には美しく紅葉し、ひときわ存在感の高い樹木です。材は良質で香りが高く、中国では科挙試験の合格者に楷樹で作った笏(しゃく)を与えて名誉を讃えたといわれています。 楷樹は雄株と雌株に分かれた雌雄別株で、足利学校の楷樹は雌株ですが、雌株1本では実を結ぶことができません。東京の湯島天神の楷樹の種から育てた若い楷樹(上写真右)が近くに植えられ、すくすくと育っています。 |
(91-3) 学び方を語る「字降松」 |
(91-4) 歴史の長さを語る、鑁阿寺のイチョウ 足利学校敷地内にもイチョウの大木がありますが、ここではあえて学校の隣の鑁阿寺(ばんなじ)のイチョウを紹介します。 |
樹木写真の属性 | |
樹 種 | ナンバンハゼノキ(南蛮黄櫨) [ウルシ科ウルシ属] クロマツ(黒松) [マツ科マツ属] イチョウ(銀杏) [イチョウ科イチョウ属] (「樹木の見所」のページにリンクしています) |
樹木の所在地 | 栃木県足利市昌平町2338 |
撮影年月 | 2014年11月、2016年10月 |
投稿者 | (1)古田 望 (2)田森 行男 |
投稿者住所 | (1)埼玉県春日部市備後東 (2)茨城県牛久市田宮 |
その他 |